18章：AWT

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29. Graphics

　　Graphicsクラスは、Component上に描画するためのクラスです。例えば線や四角形、円、文字、画像などを描画します。

　　Graphicsのコンストラクタはprotectedで宣言されており、プログラマが勝手にGraphicsインスタンスを作成することはできません。ComponentのサブクラスはComponent内に何かしらの描画をしなければならない時に、paintメソッドが呼ばれ、その引数でGraphicsオブジェクトが渡されます。これを利用して描画を行います。実際の例はこのページの下にあるサンプルプログラムを見てみてください。

　　「描画をしなければならない時」とは、例えば一番最初、そのコンポーネントやフレームのサイズが変わった時、上に別のウインドウが重なり、それがどかされた時などがあげられます。

メソッド

void clearRect(int x, int y, int width, int height)
　　　　座標(x, y)から幅width、高さheightの領域をそのComponentで設定されている背景色(setBackgroundメソッド)でクリアします。

void drawLine(int x1, int y1, int x2, int y2)
　　　　座標(x1, y1)と座標(x2, y2)を結ぶ線を描画します。
　　　　色は、setColorメソッドで指定した色です。

void drawRect(int x, int y, int width, int height)
　　　　座標(x, y)から幅width、高さheightの四角形を描画します。
　　　　色は、setColorメソッドで指定した色です。

void draw3DRect(int x, int y, int width, int height, boolean raised)
　　　　座標(x, y)から幅width、高さheightの四角形を立体的に描画します。
　　　　raisedがtrueなら浮き出たように、falseならへこんでいるように見えるよう描画します。
　　　　色は、setColorメソッドで指定した色です。

void drawRoundRect(int x, int y, int width, int height, int ardWidth, int arcHeight)
　　　　座標(x, y)から幅width、高さheightの四角形を描画します。
　　　　ただし、四隅をardWidth(4 隅の弧の水平方向の直径)、arcHeight(4 隅の弧の垂直方向の直径)で丸めます。
　　　　色は、setColorメソッドで指定した色です。

void drawPolyline(int[] xPoints, int[] yPoints, int n)
　　　　座標(x[0], y[0])－座標(x[1], y[1])－・・・・－座標(x[n-1], y[n-1])で定義される連続した直線を描画します。始点と終点は閉じません。
　　　　色は、setColorメソッドで指定した色です。
　　　　nが配列の大きさを超えた場合はArrayIndexOutOfBoundsExceptionが投げられます。

void drawPolygon(int[] xPoints, int[] yPoints, int n)
　　　　座標(x[0], y[0])－座標(x[1], y[1])－・・・・－座標(x[n-1], y[n-1])で定義される連続した直線を描画します。始点と終点は閉じます。
　　　　色は、setColorメソッドで指定した色です。
　　　　nが配列の大きさを超えた場合はArrayIndexOutOfBoundsExceptionが投げられます。

void drawOval(int x, int y, int width, int height)
　　　　座標(x, y)を左上とする幅width+1、高さheight+1の楕円を描画します。
　　　　色は、setColorメソッドで指定した色です。

void drawArc(int x, int y, int width, int height, int startAngle, int endAngle)
　　　　座標(x, y)を左上とする幅width+1、高さheight+1の楕円弧を描画します。
　　　　startAngleの単位は度で、０度ならば右。プラスなら反時計方向、マイナスなら時計回り方向に進んだ角度から、endAngle度の大きさの弧を描画します。
　　　　つまり、startAngle=90, endAngleならば、上から左にかけて90度の楕円弧になります。
　　　　色は、setColorメソッドで指定した色です。

void drawString(String text, int x, int y)
　　　　座標(x, y)の位置からtextで指定された文字列を描画します。
　　　　色は、setColorメソッドで指定した色です。

void drawChars(char[] text, int i, int len, int x, int y)
　　　　座標(x, y)の位置から文字配列textのi文字目からlen文字を描画します。
　　　　色は、setColorメソッドで指定した色です。

void drawChars(byte[] text, int i, int len, int x, int y)
　　　　座標(x, y)の位置から文字配列textのi文字目からlen文字を描画します。
　　　　色は、setColorメソッドで指定した色です。

void drawImage(Image img, int x, int y, ImageObserver observer)
　　　　座標(x, y)を左上としてイメージ画像imgを描画します。
　　　　ImageおよびImageObserverについては後述します。

void drawImage(Image img, int x, int y, Color bgColor, ImageObserver observer)
　　　　座標(x, y)を左上としてイメージ画像imgを描画します。
　　　　透明なエリアはbgColorで塗りつぶされます。
　　　　ImageおよびImageObserverについては後述します。

void drawImage(Image img, int x, int y, int width, int height, ImageObserver observer)
　　　　座標(x, y)を左上としてイメージ画像imgを幅width、高さheightになるように縮小あるいは拡大して描画します。
　　　　ImageおよびImageObserverについては後述します。

void drawImage(Image img, int x, int y, int width, int height, Color bgColor, ImageObserver observer)
　　　　座標(x, y)を左上としてイメージ画像imgを幅width、高さheightになるように縮小あるいは拡大して描画します。
　　　　透明なエリアはbgColorで塗りつぶされます。
　　　　ImageおよびImageObserverについては後述します。

void drawImage(Image img, int dx1, int dy1, int dx2, int dy2, int sx1, int sy1, int sx2, int sy2, ImageObserver observer)
　　　　imgの座標(sx1, sy1)－座標(sx2, sy2)のエリアを座標(dx1, dy1)－座標(dx2, dy2)のエリアに縮小あるいは拡大して描画します。
　　　　ImageおよびImageObserverについては後述します。

void drawImage(Image img, int dx1, int dy1, int dx2, int dy2, int sx1, int sy1, int sx2, int sy2, Color bgColor, ImageObserver observer)
　　　　imgの座標(sx1, sy1)－座標(sx2, sy2)のエリアを座標(dx1, dy1)－座標(dx2, dy2)のエリアに縮小あるいは拡大して描画します。
　　　　透明なエリアはbgColorで塗りつぶされます。
　　　　ImageおよびImageObserverについては後述します。

void fillRect(int x, int y, int width, int height)
　　　　座標(x, y)から幅width、高さheightの四角形を描画し、中を塗りつぶします。
　　　　色は、setColorメソッドで指定した色です。

void fill3DRect(int x, int y, int width, int height, boolean raised)
　　　　座標(x, y)から幅width、高さheightの四角形を立体的に描画し、塗りつぶします。
　　　　raisedがtrueなら浮き出たように、falseならへこんでいるように見えるよう描画します。
　　　　色は、setColorメソッドで指定した色です。

void fillRoundRect(int x, int y, int width, int height, int ardWidth, int arcHeight)
　　　　座標(x, y)から幅width、高さheightの四角形を描画し、中を塗りつぶします。
　　　　ただし、四隅をardWidth(4 隅の弧の水平方向の直径)、arcHeight(4 隅の弧の垂直方向の直径)で丸めます。
　　　　色は、setColorメソッドで指定した色です。

void fillPolygon(int[] xPoints, int[] yPoints, int n)
　　　　座標(x[0], y[0])－座標(x[1], y[1])－・・・・－座標(x[n-1], y[n-1])で定義される連続した直線を描画します。始点と終点は閉じます。
　　　　中は塗りつぶされます。
　　　　色は、setColorメソッドで指定した色です。
　　　　nが配列の大きさを超えた場合はArrayIndexOutOfBoundsExceptionが投げられます。

void fillOval(int x, int y, int width, int height)
　　　　座標(x, y)を左上とする幅width+1、高さheight+1の楕円を描画し、中を塗りつぶします。
　　　　色は、setColorメソッドで指定した色です。

void fillArc(int x, int y, int width, int height, int startAngle, int endAngle)
　　　　座標(x, y)を左上とする幅width+1、高さheight+1の楕円弧を描画し、中を塗りつぶします。
　　　　startAngleの単位は度で、０度ならば右。プラスなら反時計方向、マイナスなら時計回り方向に進んだ角度から、endAngle度の大きさの弧を描画します。
　　　　つまり、startAngle=90, endAngleならば、上から左にかけて90度の楕円弧になります。
　　　　色は、setColorメソッドで指定した色です。

Color getColor()
　　　　現在の描画カラーを返します。

Font getFont()
　　　　現在のフォントを返します。

FontMetrics getFontMetrics()
　　　　現在のフォントメトリクスを返します。
　　　　FontMetricsについては後述します。

void setColor(Color)
　　　　描画カラーを設定します。

void setFont(Font)
　　　　フォントを設定します。

void copyArea(int x, int y, int width, int height, int dx, int dy)
　　　　座標(x, y)から幅width、高さheightの領域を、座標(dx, dy)にコピーします。

Graphics create()
　　　　現在のGraphicsオブジェクトをコピーします。
　　　　詳しい使い方は後述します。

Graphics create(int x, int y, int width, int height)
　　　　現在のGraphicsオブジェクトの座標(x, y)から幅width、高さheightの領域をコピーし、返します。

　　なお、座標において、マイナスや領域を越えた位置を指定した場合は、無効な領域は無視されます。

　　適当な背景色、描画色で、フレームのほぼ真ん中に塗りつぶされた円を描画する例を示します。

import java.awt.*; class Test{ public static void main(String args[]){ /* フレームを作成します。*/ Frame frm = new Frame("18-29"); /* フレームのサイズを変更します。*/ frm.setSize(new Dimension(300,300)); /* フレームに独自のキャンバスを追加します。*/ frm.add(new MyCanvas()); /* フレームを見えるようにします。*/ frm.setVisible(true); } } /* 独自のキャンバスクラス */ class MyCanvas extends Canvas{ Color fClr = Color.darkGray; /* 描画色 */ Color bClr = Color.lightGray; /* 背景色 */ int radius = 50; /* 円の半径 */ /* Componentクラスは描画が必要になるとpaintメソッドが自動で呼ばれる。*/ /* この時に渡されるGraphicsオブジェクトを利用することで、描画が可能になる。*/ public void paint(Graphics g){ /* フレームのサイズを取得する */ Dimension d = getSize(); /* ほぼ真ん中を計算する */ int x = d.width / 2 - radius; int y = d.height / 2 - radius; /* 背景色を設定 */ setBackground(bClr); /* 描画色を設定 */ g.setColor(fClr); /* 円を描画 */ g.fillOval(x, y, radius*2, radius*2); } }

　　プログラムは例示しませんが、他のメソッドをいろいろ試してみてください。

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