15章：入出力

　　この章では入出力について解説します。入出力というのは主にファイルへの入出力ですが、 C言語でもそうであったように、キーボードからの入力やディスプレイへの出力もファイルの入出力も基本的に同じです。

　　まず、ファイルとディレクトリ操作について解説し、その後実際の入出力について解説していきます。

　　なお、後述するJava Appletではセキュリティの関係上ファイル操作は基本的にできません。このような場合SecurityExceptionが投げられます。

1. ファイルとディレクトリ

　　ファイルやディレクトリを操作するクラスとして、[File]クラスが用意されています。このクラスはファイル（ディレクトリ）のプロパティの取得、ファイル名（ディレクトリ）の変更、ファイル（ディレクトリ）の削除、ディレクトリの作成などを行います。ただし、ファイルの作成はできません。というのは、ファイルへの出力をしようとした場合にファイルがなければ自動で作られるため、このクラスではファイルの作成は担当しません。(Ver. 1.2以降ではcreateNewFileメソッド等が追加されファイル作成ができるようになっています。)

　　それでは、Fileクラスの使い方を説明します。

import java.io.File

メンバー変数

static String pathSeparator
　　　　パスの区切り文字列です。
　　　　Windowsでは";"、UNIXでは":"になります。

static char pathSeparatorChar
　　　　パスの区切り文字です。戻り値の型が異なるだけで値はpathSeparatorと同じです。
　　　　Windowsでは';'、UNIXでは':'になります。

static String separator
　　　　名前の区切り文字列です。
　　　　Windowsでは"¥"(円記号)、UNIXでは"/"になります。

static char separatorChar
　　　　名前の区切り文字です。戻り値の型が異なるだけで値はseparatorと同じです。
　　　　Windowsでは'¥'(円記号)、UNIXでは'/'になります。

コンストラクタ

File(File directory, String fileName)
　　　　　　ディレクトリを表すFileクラスdirectoryのディレクトリ内にfileNameで示されるファイル名のFileインスタンスを作成します。
　　　　　　Fileクラスのインスタンスが作られるのであって、実際にファイルを作るのではありません。

File(String file)
　　　　　　fileで示されるパス名＋ファイル名を表すインスタンスを作成します。
　　　　　　Fileクラスのインスタンスが作られるのであって、実際にファイルを作るのではありません。

File(String directory, String fileName)
　　　　　　ディレクトリを表すdirectoryのディレクトリ内にfileNameで示されるファイル名のFileインスタンスを作成します。
　　　　　　Fileクラスのインスタンスが作られるのであって、実際にファイルを作るのではありません。

File(URI uri)
　　　　　　uriで示されるファイルのインスタンスを作成します。

メソッド

boolean canRead()
　　　　ファイルが存在し、読み込むことができる場合にtrueが、それ以外はfalseが返されます。
　　　　セキュリティの関係上アクセスできない場合はSecurityExceptionが投げられます。

boolean canWrite()
　　　　ファイルが存在し、書き込むことができる場合にtrueが、それ以外はfalseが返されます。
　　　　セキュリティの関係上アクセスできない場合はSecurityExceptionが投げられます。

boolean exists()
　　　　ファイルが存在する場合にtrueが、それ以外はfalseが返されます。
　　　　セキュリティの関係上アクセスできない場合はSecurityExceptionが投げられます。

boolean isDirectory()
　　　　インスタンスがディレクトリの場合にtrueが、それ以外はfalseが返されます。
　　　　セキュリティの関係上アクセスできない場合はSecurityExceptionが投げられます。

boolean isFile()
　　　　インスタンスがファイルである場合にtrueが、それ以外はfalseが返されます。
　　　　セキュリティの関係上アクセスできない場合はSecurityExceptionが投げられます。

boolean isAbsolute()
　　　　インスタンスが絶対パス(Windowsでは「ドライブ名:」＋「ディレクトリ名\」＋ファイル名)で表される場合にtrueが返されます。

long lastModified()
　　　　そのファイルもしくはディレクトリが最後に変更された日付をlong型のミリ秒で返します。
　　　　CalendarクラスのsetTimeInMillisメソッドを用いることで、実際の日付に変換できます。
　　　　ファイルが存在しない場合は0Lが返されます。
　　　　セキュリティの関係上アクセスできない場合はSecurityExceptionが投げられます。

long length()
　　　　インスタンスがファイルを表す場合、そのファイルサイズを返します。
　　　　インスタンスがディレクトリの場合は、実装系によりますがWindowsでは0が返されます。
　　　　ファイルサイズが0の物と区別ができないため、isFileと組み合わせて使うことが望まれる。
　　　　セキュリティの関係上アクセスできない場合はSecurityExceptionが投げられます。

String getPath()
　　　　インスタンスのパス名を返します。

String getAbsolutePath()
　　　　インスタンスの絶対パス名を返します。
　　　　セキュリティの関係上アクセスできない場合はSecurityExceptionが投げられます。

String getCanonicalPath()
　　　　インスタンスの標準パス名を返します。
　　　　セキュリティの関係上アクセスできない場合はSecurityExceptionが投げられます。
　　　　入出力エラーの場合はIOExceptionが投げられます。

String getName()
　　　　ファイル名もしくはディレクトリ名を返します。

String getParent()
　　　　インスタンスがディレクトリの場合は、その親のディレクトリのパス名を返します。
　　　　親のディレクトリがない場合はnullが返されます。
　　　　インスタンスがファイル名を示す場合には、そのファイルが存在するディレクトリが絶対パスで返されます。

String[] list()
　　　　インスタンスがディレクトリを表す場合、そのディレクトリに存在するファイル名の配列が返されます。
　　　　インスタンスがファイルの場合は、nullが返されます。
　　　　セキュリティの関係上アクセスできない場合はSecurityExceptionが投げられます。

boolean mkdir()
　　　　インスタンスで示されるディレクトリを作成します。
　　　　親ディレクトリが存在しない場合は作成されません。
　　　　作成された場合はtrueが、できなかった場合にはfalseが返されます。
　　　　セキュリティの関係上アクセスできない場合はSecurityExceptionが投げられます。

boolean mkdirs()
　　　　インスタンスで示されるディレクトリを作成します。
　　　　親ディレクトリが存在しない場合は親ディレクトリも一緒に作成されます。
　　　　作成された場合はtrueが、できなかった場合にはfalseが返されます。
　　　　falseが返された場合でも、親ディレクトリのいくつかが作成された可能性があります。
　　　　セキュリティの関係上アクセスできない場合はSecurityExceptionが投げられます。

boolean delete()
　　　　ファイルやディレクトリを削除します。ディレクトリの場合は、その中身が空でないと削除できません。
　　　　セキュリティの関係上アクセスできない場合はSecurityExceptionが投げられます。

boolean renameTo(File dest)
　　　　destで示されるFileインスタンスにファイル名を変更します。
　　　　destのディレクトリが違う場合にはファイルが移動されますが、ドライブが違う場合はエラーになります。
　　　　セキュリティの関係上アクセスできない場合はSecurityExceptionが投げられます。
　　　　destがnullの場合はNullPointerExceptionが返されます。

String toString()
　　　　このインスタンスを文字列表現に変換します。

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