16章：ネットワーク

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7. RMI

　　RMI(Java Remote Method Invocation)とは、他のJavaバーチャルマシンのメソッドを呼び出す機能のことを言います。もう少し簡単に言うと１台のコンピュータ上でプログラムを実行させるのではなく、複数のコンピュータ上でプログラムを実行することができるようにしたものです。
　　例えば非常に時間がかかる計算をやらせようとした場合、１台のコンピュータで行うとものすごく時間のかかる計算でも、複数のコンピュータで分散することで速く計算結果を導き出せるようにすることができます。また、サーバー上にデータを置いたデーターベースプログラムでは、実行の度にデータをクライアントにダウンロードして実行するのでは、ネットワークに負荷がかかります。クライアントはサーバーに対して検索式などを引数としてオブジェクトを渡し、その結果を受け取るようにすることで負荷を減らせますし、データーベースの機能をアップした場合でもインターフェースさえ変わらなければクライアントは変更せずとも使用できます。

　　まず、用語の説明です。リモートオブジェクトとは、クライアントから呼ばれるメソッドなどが実装されたクラスのオブジェクトで、サーバー側にclassファイルを置いておきます。
　　リモートメソッドとは、クライアントから呼ばれるサーバー側で実行されるメソッドです。
　　クライアントオブジェクトとは、クライアント側で実行されるメソッドなどが定義されているクラスオブジェクトです。クライアントオブジェクトはリモートオブジェクトとの通信を確立し、リモートメソッドを実行したりします。
　　スタブは、クライアントプログラムとサーバーとのインターフェースを提供します。スケルトンは、サーバープログラムとクライアントとのインターフェースを提供します。この２つのおかげで、クライアント側はローカルメソッドを呼び出すのと同じようにリモートメソッドを呼び出すことができるようになります。

　　つまり、プログラマーから見て一番意識する必要があるのが、スケルトンとスタブです。RMIはクライアントプログラムからサーバープログラム（リモートプログラム）への参照が発生するとメソッドの確認や実際の参照、呼び出しなどの機能を行います。
　　次に手順について説明します。

●インターフェイスの定義と実装
　java.rmi.Remote インターフェイスをimplementsして、クライアントから呼ばれるメソッドを定義します。
●サーバープログラム（リモートオブジェクト）の実装
　上で作ったインターフェースをimplementsしてサーバープログラムをコーディングします。
　java.rmi.Naming クラスのbindメソッドまたはrebindメソッドを使って、RMIレジストリにリモートオブジェクトを登録します。登録するときの名前は引数で渡されます。
●クライアントプログラムの実装
　クライアントプログラムを実装する際、リモートメソッドはNamingクラスのlookupメソッドを使って、サーバーのアドレスとRMIレジストリに登録された名前とから、リモートオブジェクトを取得します。
●スケルトンとスタブの作成
　rmicというコマンドを使ってスケルトンファイルとスタブファイルを作成します。
　なお、JDK1.2ではスケルトンが、JDK1.5ではスタブファイルが不要となりました。
●レジストリの起動
　サーバー上でrmiregistryというコマンドを実行します。
　このコマンドを実行すると、クライアントからのlookupメソッドを受け入れ、必要なオブジェクトを返すことができるようになります。
●プログラムの実行
プログラムを実行します。

import java.rmi.Naming

メソッド

void bind(String name, Remote remote) throws AlreadyBoundException, MalformedURLException, RemoteException

      指定された name をリモートオブジェクト remote にバインドします。
名前がすでにバインドされている場合はAlreadyBoundExceptionが投げられます。
名前が適切な形式の URL でない場合はMalformedURLExceptionが投げられます。
レジストリに接続できない場合はRemoteExceptionが投げられます。
この操作が許可されていない場合はAccessExceptionが投げられます。

void rebind(String name, Remote remote) throws MalformedURLException, RemoteException

      指定された name をリモートオブジェクト remote にバインドします。すでにnameにバインドされていた場合は、置き換えられます。
名前が適切な形式の URL でない場合はMalformedURLExceptionが投げられます。
レジストリに接続できない場合はRemoteExceptionが投げられます。
この操作が許可されていない場合はAccessExceptionが投げられます。

void unbind(String name) throws NotBoundException, MalformedURLException, RemoteException

      指定されたnameでバインドされているリモートオブジェクトとのバインディングを破棄します。
指定したnameがバインドされていない場合はNotBoundExceptionが投げられます。
名前が適切な形式の URL でない場合はMalformedURLExceptionが投げられます。
レジストリに接続できない場合はRemoteExceptionが投げられます。
この操作が許可されていない場合はAccessExceptionが投げられます。

Remote lookup(String name) throws NotBoundException, MalformedURLException, RemoteException

      指定されたnameでバインドされているリモートオブジェクトの参照（スタブ）を返します。
指定したnameがバインドされていない場合はNotBoundExceptionが投げられます。
名前が適切な形式の URL でない場合はMalformedURLExceptionが投げられます。
レジストリに接続できない場合はRemoteExceptionが投げられます。
この操作が許可されていない場合はAccessExceptionが投げられます。

String[] list(String name) throws MalformedURLException, RemoteException

      リモートレジストリを指定する URL 形式の名前nameでバインドされている名前の配列を返します。
名前が適切な形式の URL でない場合はMalformedURLExceptionが投げられます。
レジストリに接続できない場合はRemoteExceptionが投げられます。

import java.rmi.Remote

　このインターフェースには特にメソッドなどは定義されていません。

import java.rmi.server.UnicastRemoteObject

　このクラスおよび、このクラスのスーパークラスである[java.rmi.server.RemoteServer]、さらにスーパークラスである[java.rmi.server.RemoteObject]には、通常プログラマが使用するメソッドはありませんので、高等なプログラムを作る場合にはAPIを参照してください。

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