タバコはお酒と並んで代表的な嗜好品の一つで、健康問題とも絡んで注目されている。 健康診断や、病院の初診の際には必ずと言っていいほど、タバコの量と酒の量を聞かれる。 しかし、同じ嗜好品でもコーヒーの量は聞かれた試しはない。
本題から離れるが、病院でこれを聞かれるのはガンやその他の病気になる可能性を 計算するためで、1日の酒の量、1日のタバコの量をある計算式を用いて計算し、 その計算結果に基づいて、危険、注意というレッテルをはられる。 これはあくまでもおおざっぱな参考程度の目安にしかすぎないので、タバコに含まれる ニコチンなどの成分の量までは考慮しないらしい
さて、本題に戻るが、タバコは、アメリカ大陸のインディアンが、とある儀式に 使用しており、それをコロンブスが持ち帰ったのを期にヨーロッパに広がった。16世 紀半ば、ポルトガルに住んでいたフランス人のJean Nicotが自分で栽培したタバコの 葉が偏頭痛や皮膚病に効くことを発見し、フランス王に献上した。この人の名を取って ニコチン(nicotine)と命名されたらしい。
タバコの害は「ニコチン」が原因と信じている人も多いようだが、ニコチンの 致死量は成人で50〜60mg、子供だと10〜20mgくらいである。青酸カリの致死量が 成人で150mg程度なのに比べると、ニコチンの方が確かに猛毒である。タバコ1本 あたりのニコチンの含量は銘柄にもよるが、だいたい20mgであるから、3本で 死んでしまうことになる。しかしこれはむしゃむしゃと食べた場合の話である。 火をつけて煙を吸うと、ニコチンも燃えてしまい、体内にはいるのはせいぜい 1%程度であるから、一気に300本吸わないと死なない。
タバコの害はニコチンよりも、一酸化炭素、アルデヒド、タールなどによる。 一酸化炭素は、酸素よりも赤血球に結合しやすく、離れにくい。すなわち酸素 不足による、脳細胞の死をまねく。タールなどは発ガン性物質であり、肺ガンの 原因となる。最近ではタバコによるガンの発生は遺伝子に関係していることが わかった。つまり、遺伝子を調べればタバコを吸ってガンになりやすい体質か どうかを調べられる時代になるかもしれない。親がヘビースモーカーなのにも 関わらずガンにならなければ、その子供もタバコでガンになる可能性は低い かもしれない。
ニコチンは喫煙開始後2〜3秒で中枢神経に到達し、一時的な興奮と多幸感を 生み出す。これは酒や麻薬よりも断然早い。さらにニコチンの耐性ができるのも アルコールに比べて早いので、アルコール中毒(アルコール依存症)によりも ニコチン中毒(ニコチン依存症)の方がなりやすい。
ところで「タバコは百害あって一利なし」と言われる。確かに母親が妊娠中に タバコを吸うと、胎児が死亡したり奇形になったりする場合もあるし、肺ガン、 肺気腫、慢性気管支炎、狭心症、心臓発作、末梢血管疾患、動脈瘤、高血圧、 血液凝塊、脳卒中、口・歯・歯茎の疾患および口腔ガンといった疾患にもなり やすくなる。これらは因果関係もはっきりしている。
しかし統計的に見て、タバコを吸う人の方がアルツハイマーになる可能性が低いし、 痴呆が軽減される。またストレス緩和、学習能力の向上が見られる。これは あくまでも統計的に見た話で、因果関係は詳しくはわかっていない。
タバコを吸う人の苦肉の言い訳かもしれないが、私の体験談を紹介する。 最近入院する機会があった。原因は怪我でタバコとは全然関係ないのだが。 期間は10日間とそんなに長い期間ではなかった。でも結構病院内で友人ができた。 同じ病棟の友人もいるが、他の病棟の友人もいる。これはすべて喫煙所で知り合った 友人である。私がタバコを吸わなかったら、こんなに友人はできなかったであろう。 ちなみに、退院後もメールのやりとりをしている。
そんなわけで、タバコは「百害あって一利あり」と私は信じている。
最後にタバコを吸わない人にお願いだが、タバコが日本からなくなったら、 タバコにかかっている税金はタバコを吸わない人からも徴収されることになる。 タバコを吸う人を迫害するだけではなく、少しは感謝して貰いたい。
また、タバコを吸う人にもお願い。マナーは守りましょう。マナーを守らない 人の所為で、マナーを守っている愛煙家までもが迫害されます。